Hodge star の入口
mathdifferential-formshodge-starlecture
導入
このページの核心は、Hodge star を内積と向き付けに依存して、形式を補次元の形式へ対応させる操作として導入することである。
用語と定義
Hodge star は、n 次元の内積空間で、k 形式を n-k 形式へ送る線形写像である。
方針
Hodge star は、微分形式の言語をベクトル解析の grad・curl・div と接続する。外微分だけでは次元が 1 つ上がるが、Hodge star を組み合わせると補次元の量へ移行できる。
代表例
\mathbb{R}^3 の標準内積と標準向きで、
*dx=dy\wedge dz
である。これは x 方向と垂直な面要素へ対応する。
計算表
\mathbb{R}^2 の標準内積と標準向きでは、
*1=dx\wedge dy,\qquad *dx=dy,\qquad *dy=-dx,\qquad *(dx\wedge dy)=1
である。\mathbb{R}^3 では、*dx=dy\wedge dz、*(dx\wedge dy)=dz のように補次元の形式へ対応する。
\mathbb{R}^3 の標準の計算表は次の通りである。
| 形式 | Hodge star |
| 1 | dx\wedge dy\wedge dz |
| dx | dy\wedge dz |
| dy | dz\wedge dx |
| dz | dx\wedge dy |
| dx\wedge dy | dz |
| dy\wedge dz | dx |
| dz\wedge dx | dy |
| dx\wedge dy\wedge dz | 1 |
計量が必要な理由
Hodge star は垂直や長さの情報を使用する。そのため内積なしには定義できない。また向き付けを反転すると、体積形式の符号が変化し、Hodge star の符号も影響を受ける。
例として、dx に対応する補次元の面は y,z 方向の面である。ただし「垂直」や「単位面積」を判断するには内積が必要である。向きを反転すると体積形式が -dx\wedge dy\wedge dz になるため、Hodge star の符号も変化する。
grad・curl・div との関係
3 次元では、外微分 d と Hodge star * を組み合わせることで、gradient、curl、divergence の対応を記述できる。たとえば divergence は、1 形式に対応する場へ *d* を作用させる構造として理解できる。
ベクトル場 \boldsymbol{F}=(P,Q,R) に対応する 1 形式を \alpha=Pdx+Qdy+Rdz とする。このとき d\alpha は curl に対応し、*d\alpha は curl を 1 形式として戻す。また
d(*\alpha)=(P_x+Q_y+R_z)\,dx\wedge dy\wedge dz
であり、*d(*\alpha)=P_x+Q_y+R_z が divergence に対応する。
反例または限界
外微分 d は座標変換と自然に両立するが、Hodge star は計量を変更すると変化する。同じ形式であっても、Euclidean 計量と曲がった計量では Hodge star の結果が一致しない。形式の代数だけではなく、幾何の情報を使用する操作である。
どこまで成り立つか
Hodge star は内積と向き付けを必要とする。外微分とは異なり、純粋に位相的な操作ではない。